出店の用心棒 小冊子⑤「店主は客を愛し、用心棒は店を愛す」
秋山 ゴールデンウイークでもお盆でもお客様は来るかもしれないけど、接客が未熟とか提供時間が遅いとか、期待外れでアウトじゃないですか。
それやったら賃料を一か月カラ払いしてでも、これからずっと続いていくお店なんだったら、どうってことないでしょってお伝えました。
僕はオープンしてから施主さんが後悔する姿というのを嫌というほど見てきてる
んで、つい大胆な発言をしてしまうんですよね。
比嘉 大胆発言といえば、厨房の壁を壊して、導線を作って頂いたことがありましたね。
秋山 お店にとって導線は大切です。お店の血管といってもいい。
お客様同士はもちろんのこと、従業員さんにとっても導線環境は快適でなければストレスも発生するし、作業効率も低下して、最終的には人件費等に影響します。
その時の物件では、料理の提供において、かなりの無駄が発生することが予測できたので、厨房の壁をぶち抜いてスムーズに提供できる導線を作りました。
比嘉 そうでしたね。もともとそんな発想はありませんでしたから、あれはびっくりしました。
導線の問題はあきらかでした。遠回りしたとしても、どうにかしないといけないとは思っていましたが、まさに大胆でしたね。
その後、厨房内のオペレーションもいろいろ考えて、完成を見たときには感動しました。
スタッフのみんなが
「これ売れるわあ」って
比嘉 結局、施工会社さんとか設計さんって図面引いたら終わりとか、作ったら終わりとかいう感じの人が多くて。
本来、その中で僕たちがオペレーションを組むというのはあるんですけど。今回はそれも踏まえた上でアドバイスを頂けたのが凄い良かったというか。
僕らは新店の立ち上げ部隊としていくことがあるんです。
すると、「ここに棚作って欲しかった」とか「逃がし場所欲しいよね」とか出てくるんですけど、提案とかではなくて「言われたらやるよ」とか言う施工会社さんが多くて。
設計サイドとは別で「ここに絶対これあった方がいいよ」 とかそういうこと言ってくれる施工会社さんって有難い。
今回は、そういうスタンスでやって頂けたから、かっこいい店出来たなって。
スタッフのみんなが「これ、売れるわあ」って言って。
僕も自信がつきましたし。
記者 「これ、売れるわあ」っていう感覚ってどこから生まれてくるんですか。
比嘉 なんか雰囲気ですよ。
記者 雰囲気と申しますと?
比嘉 うーん・・・「これ売れるわあ」っていうのは、ききょうの店長が漏らした言葉だったんですけどね。
この店なら、自分がノッて仕事ができる、お客様が盛り上がってる状況をありありと想像できるっていう感じだったんじゃないですかねえ。
及川 うわあ。ありがとうございます。その賑わいはまさに先ほど拝見してきました!
秋山 一番大事なんは、お店の人も工事をする人も、そこのお店にどれだけ気持ちを注ぎ込んだか、やからね。
今回は、お客様と作り手の目指すところが一つに重なって上手く引き渡せたんちゃうかな。(完)